愛犬と「命を守る」防災対策リスト!もしもの時に備えるべきこと

地震、台風、集中豪雨…日本は災害が多い国です。いつ、どんな災害が起こるかわからない今、私たち飼い主には、自分自身の命だけでなく、愛する家族の一員である愛犬の命を守る責任があります。「もしもの時、愛犬をどう守ればいいんだろう?」「具体的に何を準備すべき?」と不安に思う方もいるかもしれません。
いざという時に後悔しないためにも、日頃からの備えが何よりも大切です。今回は、愛犬と飼い主の命を守るための具体的な防災対策を、プロの視点から詳しく解説します。今日からできることから始めて、大切な愛犬と共に安全に災害を乗り越えられるよう準備を進めましょう。
なぜ「ペットの防災対策」が必要なの?
災害発生時、私たち人間は様々な支援を受けられますが、ペットたちはそうではありません。混乱の中で迷子になったり、適切なケアを受けられずに体調を崩したりするケースが後を絶ちません。東日本大震災や熊本地震などの経験から、ペットの防災対策の重要性が強く認識されるようになりました。
1. 命を守るための第一歩
災害時は、建物倒壊や浸水、火災など、愛犬にとって命に関わる危険がたくさん潜んでいます。適切な準備がなければ、避難が遅れたり、避難中に愛犬が怪我をしたりするリスクが高まります。
2. 「同行避難」の原則
環境省は、災害時に原則として「同行避難」を推奨しています。これは、飼い主がペットと一緒に避難所まで移動することを指します。しかし、避難所でペットと同室で過ごせるわけではない場合が多く、専用スペースや車中泊での生活になることもあります。だからこそ、日頃からの備えが重要になるんです。
3. 愛犬の心身の健康維持
災害時は、環境の変化やストレスから愛犬の心身に大きな負担がかかります。食事や水の確保、排泄場所の確保、医療品の準備など、普段と異なる状況でも愛犬の健康を維持するための備えが不可欠です。
今日から始めよう!愛犬のための「防災備蓄リスト」
災害時に最も重要となるのが、「非常用持ち出し袋(ペット用)」の準備です。最低でも5日分、できれば7日分以上の物資を目安に用意しておきましょう。
1. フード・水・食器
- 愛犬が普段食べているフード:アレルギー対応食など、普段から食べ慣れているものをジッパー付き保存袋に入れ、脱酸素剤と一緒に密閉し、賞味期限を管理しましょう。フードが変わると体調を崩す犬もいるため、必須です。
- 水:人間用の備蓄水とは別に、愛犬用の水を確保しましょう。飲用だけでなく、体や食器を拭くのにも使えます。
- 携帯用食器:折りたたみ式のシリコン製食器など、軽くてかさばらないものが便利です。
2. 医療品・衛生用品
- 常備薬:持病がある場合は、かかりつけ医に相談し、予備の薬を多めに処方してもらい備蓄しましょう。
- 動物用救急セット:消毒液、包帯、ガーゼ、ハサミ、ピンセット、絆創膏、綿棒など。いざという時の応急処置に役立ちます。
- ウェットティッシュ・足拭きシート:体を拭いたり、衛生を保つために多めに用意しましょう。
- ペットシーツ・排泄物処理袋:避難所では排泄場所が限られるため、マナーを守る上でも必須です。多めに備蓄しておきましょう。
- 消臭スプレー:共同生活の場では特に配慮が必要です。
- ビニール手袋:排泄物の処理や応急処置の際に役立ちます。
3. 身元確認・情報ツール
- 鑑札・狂犬病予防注射済票: 普段から首輪に付けておきましょう。迷子になった際の重要な情報源です。
- マイクロチップ: 装着済みの場合は、登録情報の確認と更新を定期的に行いましょう。
- 愛犬の写真(複数枚): 特徴が分かりやすい写真を複数枚用意し、連絡先を裏に書いておきましょう。迷子になった際の捜索に役立ちます。
- 愛犬の情報カード:愛犬の名前、年齢、犬種、性別、ワクチン接種歴、狂犬病接種歴、持病、かかりつけ動物病院名と連絡先、飼い主の連絡先などをまとめたカードをラミネート加工して携帯しましょう。食物アレルギーや薬アレルギーの有無も記載します。
- リード・予備の首輪/ハーネス: 普段使っているものに加え、予備があると安心です。
4. 快適グッズ・ストレス軽減アイテム
- キャリーバッグ・クレート: 愛犬が慣れている、丈夫で持ち運びやすいものを選びましょう。避難所での愛犬の居場所になります。普段からハウスとして使い慣れさせておくことが重要です。
- 毛布・タオル: 愛犬のにおいがついたものを用意することで、安心感を与えられます。防寒対策にもなります。
- お気に入りのおもちゃ: ストレス軽減に役立ちます。
- ガムや知育トイ: 長時間時間を潰せるものがあると、避難生活でのストレス緩和に役立ちます。
災害発生時&避難時の行動ガイド
備蓄だけでなく、実際に災害が起こった時の行動シミュレーションも重要です。
1. 災害発生直後:まずは身の安全確保!
- 揺れがおさまったら、まず愛犬を保護: 倒壊物やガラスの破片などから愛犬を守りましょう。落ち着いてクレートやキャリーバッグに入れ、リードを装着します。
- 脱走防止: ドアや窓が壊れていなくても、愛犬がパニックになって外へ飛び出さないよう、すぐに確保しましょう。
2. 避難の判断と行動
- 避難情報に注意: 自治体からの避難情報(避難指示、避難勧告など)に耳を傾け、適切なタイミングで避難しましょう。
- 同行避難の準備: 避難する際は、必ず愛犬をキャリーバッグやクレートに入れ、リードを装着しましょう。
- 「いつもの散歩コース」で危険を把握: 日頃から散歩しているコースで、災害時に危険な場所(水路、崖、電線など)を把握しておくことも重要です。
3. 避難所での過ごし方:マナーと配慮が大切
避難所は多くの人が集まる場所です。愛犬と同行避難できたとしても、ルールとマナーを守ることが不可欠です。
- 指定された場所での滞在: 避難所では、ペット専用のスペースが設けられている場合があります。必ず指定された場所で過ごしましょう。
- マーキング対策: オス犬はマナーベルト、メス犬はおむつを着用させるなど、マーキングや排泄の失敗を防ぐ工夫をしましょう。
- 吠え癖対策: 無駄吠えは他の避難者の大きなストレスになります。日頃から吠え癖のしつけをしておくことが大切です。必要であれば、獣医さんやトレーナーに相談しましょう。
- 基本的なしつけの徹底: 「おすわり」「待て」「伏せ」などの基本的なコマンドが身についていると、避難所での管理が格段に楽になります。
- 健康状態の把握: 避難生活はストレスが多く、体調を崩しやすいです。愛犬の様子をこまめに観察し、異変があればすぐに動物病院へ連絡しましょう。
- 声かけとスキンシップ: 不安な愛犬のために、いつもより多く優しく声をかけたり、触れ合ったりして、安心感を与えてあげましょう。
まとめ
備えあれば憂いなし!愛犬との「もしも」に備えよう
災害はいつ、どこで起こるかわかりません。しかし、日頃からの備えと意識で、愛犬と飼い主の命を守り、被害を最小限に抑えることは十分に可能です。
- 非常用持ち出し袋を準備する
- 避難経路や避難所について事前に調べておく
- 日頃から基本的なしつけや社会化を徹底する
これらの対策を家族で共有し、今日からできることから少しずつ始めてみてください。備えあれば憂いなし。愛する愛犬と共に、どんな状況でも乗り越えられるよう、今から準備を進めていきましょう。