寝ている犬の「ピクピク」「うなり声」は夢のサイン？犬の睡眠行動と夢の秘密

健康・体調管理

愛犬が眠っている時に、手足がピクピクと痙攣したり、小さなうなり声や鳴き声を出したり、まるで走っているかのように体を動かしたりする姿を見たことはありませんか？その愛らしいしぐさに、「どんな夢を見ているんだろう？」と想像を膨らませた飼い主さんも多いのではないでしょうか。

実は、これらの行動は、犬が人間と同じように「夢を見ている」ことの有力なサインであると考えられています。この記事では、犬の睡眠サイクルや、夢を見ている時に見られる具体的なしぐさ、そして愛犬の睡眠と夢が彼らの心身にどのような影響を与えるのかを深掘りして解説します。愛犬の神秘的な睡眠の世界を理解し、彼らがより質の良い眠りにつけるようにサポートするためのヒントを見つけていきましょう。

犬も夢を見る？睡眠サイクルの秘密

犬の睡眠サイクルは、人間と非常によく似ています。大きく分けて、「ノンレム睡眠」と「レム睡眠」の2つの段階を繰り返しています。

ノンレム睡眠（NREM睡眠）この段階では、脳の活動が低下し、体もリラックスして深い眠りに入ります。愛犬は完全に体を横たえ、呼吸も穏やかで、ほとんど動きません。入眠直後や、非常に疲れている時などに見られます。ノンレム睡眠は、体の回復や記憶の整理に重要な役割を果たすと考えられています。
レム睡眠（REM睡眠）レム（Rapid Eye Movement）睡眠は、その名の通り、急速な眼球運動が見られるのが特徴です。この段階になると、脳は活発に活動し、人間と同じように夢を見ていると考えられています。体の筋肉は弛緩していますが、手足がピクピクと動いたり、寝言を言ったり、口が動いたり（あたかも何かを食べているかのように）、あるいはまるで走っているかのように体を震わせたりすることがあります。愛犬が「夢を見ている」と思われるしぐさのほとんどは、このレム睡眠中に起こります。犬は人間よりも睡眠サイクルが短く、浅い眠りから深い眠り、そしてレム睡眠へと移行するサイクルを頻繁に繰り返します。そのため、短い時間でもレム睡眠に入りやすく、ピクピクとした動きを比較的頻繁に見かけることがあるのです。

夢を見ている犬に見られる具体的なしぐさ

愛犬がレム睡眠中に夢を見ている際、どのようなしぐさが見られるのでしょうか。代表的なものを詳しく見ていきましょう。

手足のピクピク、体の震え最もよく見られるしぐさです。まるで何かを追いかけているかのように手足が小刻みに動いたり、全身が小刻みに震えたりすることがあります。これは、夢の中で走ったり、遊んだりしている様子を反映していると考えられます。特に子犬や老犬で頻繁に見られることがあります。
寝言や小さなうなり声、鳴き声「クーン」「ワン」といった小さな寝言を言ったり、唸るような声を上げたりすることもあります。まるで夢の中で他の犬とコミュニケーションを取っていたり、獲物を追いかけて声を出していたりするかのような印象を受けます。中には、まるで現実で吠えているかのような大きな声を出す犬もいますが、基本的には浅い声であることが多いです。
口の動き、舌なめずり夢の中で何かを食べているかのように口をモグモグさせたり、舌をペロペロと舐めたりするしぐさも見られます。これは、夢の中で美味しいものを食べたり、水を飲んだりしている様子を反映しているのかもしれません。
眼球の動きまぶたをよく見ると、閉じているまぶたの下で眼球が左右に素早く動いていることがあります。これがレム睡眠の由来であり、夢の中の情景を目で追っていることを示唆しています。
呼吸の変化睡眠中に呼吸が不規則になったり、少し荒くなったりすることがあります。夢の内容によって、興奮したり、息を弾ませたりしているためと考えられます。

これらのしぐさは、愛犬が見ている夢が、日中の楽しかった経験（散歩、遊び、食事など）や、時には少しスリリングな経験（追いかけっこ、新しい場所の探索など）を反映している可能性を示しています。夢の中での行動は、愛犬の日常が充実している証とも言えるでしょう。

愛犬の睡眠と夢を妨げないために

愛犬にとって、質の良い睡眠は心身の健康を維持するために非常に重要です。夢を見ている最中の愛犬には、そっと見守ってあげることが大切です。

無理に起こさない愛犬が夢を見ている時に、興奮しているように見えたり、苦しそうに見えたりしても、基本的には無理に起こさないであげてください。夢の途中やレム睡眠中に無理に起こされると、愛犬は混乱したり、睡眠の質が低下したりする可能性があります。たとえ唸ったり鳴いたりしていても、多くの場合は夢の中での行動であり、現実で苦しんでいるわけではありません。
安全で静かな睡眠環境を整える愛犬が安心して深い眠りにつけるよう、睡眠環境を整えることが重要です。人通りや騒音の少ない、静かで落ち着いた場所を選びましょう。愛犬専用のベッドやクレートは、彼らが「自分の安全な場所」と認識できるような快適な空間であるべきです。室温も適切に保ち、夏は涼しく、冬は暖かくしてあげましょう。
十分な運動と精神的な刺激日中に十分な運動と精神的な刺激を与えてあげることも、質の良い睡眠に繋がります。適切な運動量で体を疲れさせ、知育トイや新しい芸の練習などで頭を使わせることで、夜にはぐっすりと眠りにつくことができます。充実した日中を過ごすことで、楽しい夢を見る機会も増えるかもしれません。
異常な行動には注意する睡眠中のピクピクやうなり声が非常に激しく、明らかにけいれんや発作のように見える場合、あるいは目覚めても意識がはっきりしない、ふらつくなどの症状が見られる場合は、夢ではなくてんかんなどの神経疾患の可能性があります。このような場合は、すぐに動物病院を受診し、獣医師に相談してください。