公開日：2025年6月17日

【ツヤ肌・毛並み改善】犬の皮膚と被毛のための栄養ケア完全版

お手入れ

「うちの子、なんだか毛艶がない気がする…」「フケが多いし、皮膚がカサカサしている」と、愛犬の被毛や皮膚のトラブルに悩んでいる飼い主さんは多いのではないでしょうか。被毛や皮膚の健康は、単に見た目の美しさだけでなく、愛犬の全身の健康状態を映し出す「鏡」とも言えます。ブラッシングやシャンプーといった外側からのお手入れはもちろん大切ですが、本当に健康でツヤのある被毛と丈夫な皮膚は、体の中から適切な栄養を摂ることで作られます。栄養バランスが偏ったり、特定の栄養素が不足したりすると、被毛のパサつき、抜け毛の増加、フケ、皮膚の乾燥、痒み、炎症などのトラブルを引き起こす可能性があります。

この記事では、なぜ栄養が被毛と皮膚の健康に不可欠なのか、被毛と皮膚の健康を支える主要な栄養素とその働きを詳しく解説します。さらに、愛犬の被毛と皮膚の健康を内側からサポートするためのドッグフードの選び方、効果的なサプリメントの活用法、そして日々の食生活で気をつけたいポイントまでを徹底解説します。愛犬が全身ツヤツヤ、健康な皮膚で快適に過ごせるように、今日からできることを実践していきましょう。

なぜ栄養が被毛と皮膚の健康に不可欠なのか？

被毛と皮膚は、愛犬の体を守る大切なバリアであり、その健康は日々の食事に大きく左右されます。

被毛と皮膚の役割

体の保護: 被毛と皮膚は、外部からの物理的刺激、紫外線、細菌、ウイルスなどから体を守る第一線のバリアです。
体温調節: 被毛は保温や放熱の役割を、皮膚は汗腺（肉球のみ）や血流によって体温調節を助けます。
感覚機能: 神経が通っており、触覚や痛覚を感じることで、外部環境を認識します。
免疫機能: 皮膚には免疫細胞が存在し、病原体の侵入を防ぎます。

これらの重要な役割を果たすためには、被毛と皮膚が常に健康な状態に保たれる必要があります。被毛と皮膚の細胞は日々新陳代謝を繰り返しており、その材料となるのは、まさに愛犬が毎日口にする「食事」なのです。

栄養不足が引き起こす皮膚・被毛のトラブル

特定の栄養素が不足したり、食事のバランスが偏ったりすると、以下のような皮膚や被毛のトラブルが現れることがあります。

毛艶がない、パサつく: 被毛を構成するタンパク質や必須脂肪酸が不足すると、毛が細くなり、パサつき、光沢が失われます。
抜け毛の増加、薄毛: 新しい毛が十分に生成されず、古い毛が抜け落ちる速度が速くなることがあります。
フケ、乾燥、かゆみ: 皮膚のバリア機能が低下し、水分が失われることで乾燥し、フケやかゆみが発生しやすくなります。
皮膚の炎症、赤み: 免疫機能が低下し、外部刺激やアレルゲンに対する抵抗力が弱まることで、炎症を起こしやすくなります。
被毛の色の変化: 特定の栄養素（銅など）が不足すると、被毛の色素形成に影響が出て、色が薄くなることがあります。

被毛と皮膚の健康を支える主要な栄養素とその働き

健康な被毛と皮膚を育むためには、様々な栄養素がバランス良く摂取されることが重要です。

1. タンパク質

被毛の約95%は「ケラチン」というタンパク質でできています。皮膚も主要な構成成分はタンパク質です。

働き: 被毛の生成、皮膚細胞の再生、コラーゲンやエラスチンの合成など、被毛と皮膚の構造と機能を維持するために不可欠です。
不足すると: 被毛のパサつき、抜け毛、毛量の減少、皮膚の弾力性低下などが起こります。
主な食材: 肉（鶏肉、牛肉、ラム肉など）、魚、卵、大豆製品など。

2. 必須脂肪酸（特にオメガ3脂肪酸、オメガ6脂肪酸）

体内で合成できないため、食事から摂取する必要がある重要な脂肪酸です。

働き: 皮膚のバリア機能を強化し、水分の蒸発を防ぎます。また、抗炎症作用があり、皮膚炎やアレルギー症状の緩和にも役立ちます。被毛に艶と潤いを与えます。
不足すると: 皮膚の乾燥、フケ、かゆみ、皮膚炎の悪化、被毛のパサつきなどが起こります。
主な食材:
- オメガ3脂肪酸: 魚油（サーモンオイル、亜麻仁油など）、青魚（サーモン、サバなど）。
- オメガ6脂肪酸: 植物油（コーン油、ひまわり油など）、肉類。
※オメガ3とオメガ6のバランスが重要です。一般的にオメガ6は摂取しやすいですが、オメガ3は不足しがちです。

3. ビタミン

ビタミンA: 皮膚や粘膜の健康維持、免疫機能に関与します。不足すると皮膚の乾燥やフケの原因になります。
- 主な食材: レバー、卵黄、ニンジン、カボチャなど。
ビタミンB群: 特にビオチン、パントテン酸、ナイアシンなどが皮膚と被毛の健康に重要です。新陳代謝を促進し、皮膚や被毛の細胞の再生を助けます。
- 主な食材: 肉、魚、卵、レバー、穀物など。
ビタミンE: 強力な抗酸化作用を持ち、細胞の老化を防ぎ、皮膚の健康維持に役立ちます。
- 主な食材: 植物油、ナッツ類、緑黄色野菜など。

4. ミネラル

亜鉛: 新陳代謝、細胞分裂、免疫機能、皮膚や被毛の再生に不可欠なミネラルです。不足すると皮膚炎、脱毛、肉球の異常などが起こります。
- 主な食材: 肉、魚介類、レバー、卵、チーズなど。
銅: 被毛の色素形成（メラニン色素）に関与します。不足すると被毛の色が薄くなったり、パサついたりすることがあります。
- 主な食材: レバー、魚介類、豆類など。

愛犬の被毛と皮膚を内側からサポートする食事の選び方

愛犬の被毛と皮膚の健康は、日々のドッグフード選びから始まります。

1. ドッグフードの選び方

高品質なタンパク質源: 主原料が良質な肉や魚であるフードを選びましょう。動物性タンパク質が豊富なものが理想です。
必須脂肪酸のバランス: オメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸が適切なバランスで配合されているフードを選びましょう。特に、サーモンオイルや亜麻仁油など、オメガ3脂肪酸の供給源が明記されているものが良いでしょう。
ビタミン・ミネラルの強化: 皮膚と被毛の健康に必要なビタミン（A, B群, E）やミネラル（亜鉛, 銅）がバランス良く配合されているか確認しましょう。
アレルギー対応フード: 特定の食材に対するアレルギーが疑われる場合は、アレルゲンとなりやすい原材料（鶏肉、小麦、トウモロコシなど）を使用していない、または単一タンパク質のフード（ラム肉、魚など）を試してみるのも有効です。
消化の良いもの: 消化吸収が良いフードは、栄養素が効率良く利用され、被毛や皮膚の健康にもつながります。

2. サプリメントの活用（必要な場合）

普段の食事だけでは不足しがちな栄養素を補うために、サプリメントの活用も有効です。ただし、必ず獣医さんに相談してから与えましょう。過剰摂取はかえって健康を損ねる可能性があります。

魚油系サプリメント（オメガ3脂肪酸）: 特に皮膚トラブルやアレルギーを持つ犬に推奨されることが多いです。炎症を抑え、皮膚のバリア機能を強化します。液体タイプやカプセルタイプがあります。
亜鉛サプリメント: 亜鉛欠乏による皮膚トラブルが疑われる場合に検討されます。
ビタミンB群サプリメント: 皮膚や被毛の新陳代謝をサポートします。

3. 手作り食の注意点

手作り食を与える場合は、栄養バランスが偏らないよう細心の注意が必要です。皮膚や被毛の健康に必要な栄養素が不足しないよう、信頼できる情報源を参考にしたり、獣医さんと相談したりしながら、バランスの取れたレシピを作成しましょう。

日々の食生活で気をつけたいポイント

健康な被毛と皮膚は、日々の食生活の積み重ねによって作られます。

適切な食事量: 肥満は皮膚病のリスクを高めるため、適切なカロリーと食事量を守りましょう。
十分な水分補給: 水分不足は皮膚の乾燥につながります。常に新鮮な水を飲めるようにしておきましょう。
おやつの見直し: 添加物が多いおやつや、アレルギーの原因となるおやつは控えましょう。手作りのおやつや、素材そのもの（茹でた鶏肉や野菜など）を与えるのも良いでしょう。
アレルギーの原因となる食材を避ける: 愛犬にアレルギー症状（かゆみ、皮膚の赤みなど）が出ている場合は、獣医さんと相談してアレルギー検査を行い、原因となる食材を特定して避けることが重要です。
急なフード変更は避ける: フードを切り替える際は、急に全てを新しいフードにするのではなく、徐々に混ぜる量を増やし、1週間～10日ほどかけてゆっくりと切り替えることで、消化器への負担を減らしましょう。

まとめ

全身ツヤツヤは内側からのケアで

愛犬の被毛と皮膚の健康は、単なる見た目の問題ではなく、全身の健康状態を測るバロメーターであり、外部からのケアだけでなく、体の中から適切な栄養を摂ることが不可欠です。良質なタンパク質、必須脂肪酸、ビタミン、ミネラルをバランス良く摂取することで、皮膚のバリア機能が強化され、ツヤのある美しい被毛が育まれます。

愛犬の被毛と皮膚の栄養ケアを行うためのポイントを再確認しましょう。