【犬の去勢・避妊手術の全て】費用・時期・メリット・デメリットを徹底比較！愛犬のために知るべきこと
「愛犬を去勢・避妊手術させるべきか迷っている」「手術の費用はどのくらい？」「手術のメリットとデメリットが知りたい」と、愛犬の去勢・避妊手術について、多くの飼い主さんが様々な疑問や悩みを抱えています。この手術は、愛犬の健康と行動に大きく影響する重要な決断であり、飼い主さんにとっては不安も大きいでしょう。
この記事では、愛犬を飼い始めたばかりの飼い主さんや、去勢・避妊手術を検討している方向けに、手術の最適な時期、費用、そしてオス犬とメス犬それぞれにおける手術のメリット・デメリットを詳しく解説します。手術を受けるかどうかを判断するために必要な情報と、愛犬にとって最善の選択をするためのヒントを提供します。後悔のない選択をするために、今日からできることを実践していきましょう。
犬の去勢・避妊手術とは？それぞれの目的と違い
去勢手術はオス犬に、避妊手術はメス犬に行われる生殖器関連の手術です。それぞれ目的と内容が異なります。
去勢手術（オス犬）
- 内容: 精巣（睾丸）を摘出する手術です。陰嚢を切開し、精巣を取り除きます。
- 目的:
- 精巣疾患（精巣腫瘍など）の予防。
- 前立腺疾患（前立腺肥大など）の予防。
- 肛門周囲腺腫（肛門腺のできもの）の発生リスク軽減。
- 性ホルモンが関与する行動問題の改善・予防（マーキング、マウンティング、攻撃性、脱走など）。
避妊手術（メス犬）
- 内容: 卵巣を摘出する手術（卵巣摘出術）か、卵巣と子宮を同時に摘出する手術（卵巣子宮摘出術）のいずれかを行います。日本では卵巣子宮摘出術が一般的です。
- 目的:
- 子宮蓄膿症（子宮に膿がたまる病気）の予防。
- 乳腺腫瘍（乳がん）の発生リスク大幅軽減。
- 卵巣疾患（卵巣腫瘍、卵巣嚢腫）の予防。
- 望まない妊娠の防止。
- 発情期のストレス軽減（生理出血、発情に伴う精神的な不安定さ、オス犬の引き寄せなど）。
- 偽妊娠（想像妊娠）の予防。
去勢・避妊手術の最適な時期は？
手術の最適な時期については、様々な意見がありますが、一般的には以下の時期が推奨されることが多いです。
オス犬の去勢手術
- 生後6ヶ月〜1歳頃: 多くの獣医師が推奨する時期です。性成熟を迎える前、または性ホルモンによる行動問題が本格化する前に手術を行うことで、マーキングやマウンティングなどの問題行動の予防効果が高まります。
- メリット:
- 若い時期に行うため、体の負担が比較的少ない。
- 性ホルモン関連の問題行動の予防・軽減効果が高い。
- 精巣腫瘍などの病気を未然に防げる。
メス犬の避妊手術
- 初回発情前（生後6ヶ月〜1歳頃）: 乳腺腫瘍の発生リスクを最も効果的に抑えることができるとされています。初回発情前に手術を行うことで、乳腺腫瘍の発生リスクをほぼゼロに近づけることができます。
- メリット:
- 乳腺腫瘍の発生リスクが極めて低くなる。
- 子宮蓄膿症などの生殖器疾患を完全に予防できる。
- 発情期特有のストレスや、生理出血、オス犬の引き寄せなどから解放される。
ただし、個体差や犬種による成長の速度、健康状態によって最適な時期は異なります。必ず獣医師と相談し、愛犬にとって最も良いタイミングを決めましょう。
去勢・避妊手術の費用相場と内訳
去勢・避妊手術の費用は、動物病院、愛犬の体重、麻酔の種類、術前の検査内容、入院の有無などによって大きく異なります。
費用相場（目安）
- オス犬（去勢手術）: 2万円〜5万円程度
- メス犬（避妊手術）: 3万円〜8万円程度（メス犬の方が手術が複雑なため、高くなる傾向があります）
費用の主な内訳
- 術前検査費用: 血液検査、レントゲン検査など。麻酔のリスクを評価するために行われます。
- 手術費用: 執刀費用。
- 麻酔費用: 全身麻酔費用。
- 入院費用: 手術当日の入院、または翌日までの入院。
- 薬剤費用: 術後の抗生剤、痛み止めなど。
- エリザベスカラー費用: 術部の保護のため。
動物病院によっては、これらがセットになった「手術パック」を提供している場合もあります。事前に必ず見積もりを取り、含まれる内容を確認しましょう。ペット保険に加入している場合は、保険適用となる場合もありますので、確認が必要です。
去勢・避妊手術のメリットとデメリット
手術は愛犬の体に負担をかけるため、メリットとデメリットを十分に理解し、慎重に検討することが大切です。
去勢手術（オス犬）のメリット
- 性ホルモン関連の病気の予防: 精巣腫瘍や、高齢犬によく見られる前立腺肥大、肛門周囲腺腫といった病気を予防できます。
- 問題行動の抑制・軽減: マーキング行動（不適切な場所での排泄）、マウンティング（人や物に乗る行為）、他のオス犬への攻撃性、メス犬の発情に反応した脱走などの行動が軽減・改善されることがあります。ただし、これらの行動は本能だけでなく、しつけや性格も関係するため、必ずしも全てが改善されるわけではありません。
- 望まない妊娠の防止: 飼い主が意図しない繁殖を防ぎ、不幸な命を増やさないことにつながります。
去勢手術（オス犬）のデメリット
- 全身麻酔のリスク: 麻酔に対するアレルギー反応や、持病による合併症のリスクがごく稀にあります。術前の血液検査などでリスクを評価します。
- 手術に伴う痛みとストレス: 手術後は一時的に痛みや不快感を伴います。適切な痛み止めが処方されます。
- 性格の変化: ごくまれに、活発さがなくなったり、穏やかになりすぎたりする場合があります。
- 肥満になりやすい: 性ホルモンが減少することで基礎代謝が低下し、太りやすくなる傾向があります。食事管理と運動管理が重要になります。
- 稀な合併症: 術後の傷口の炎症、感染、陰嚢部の腫れなどが起こる可能性があります。
避妊手術（メス犬）のメリット
- 乳腺腫瘍の発生リスクを大幅に軽減: 乳腺腫瘍は犬の腫瘍の中で最も発生率が高いと言われています。初回発情前に手術を行うと、その発生リスクをほぼゼロにまで減らすことができます。発情回数が増えるごとにリスクは上昇します。
- 子宮蓄膿症の予防: 高齢の未避妊メス犬に非常に多く見られる、命に関わる重篤な病気です。子宮に細菌が感染し膿がたまる病気で、緊急手術が必要となることがほとんどです。避妊手術で子宮を摘出すれば完全に予防できます。
- 卵巣疾患の予防: 卵巣腫瘍や卵巣嚢腫といった病気を予防できます。
- 望まない妊娠の防止: 意図しない繁殖を防ぎ、不幸な命を増やさないことにつながります。
- 発情期のストレス軽減: 生理出血の掃除の手間がなくなるだけでなく、発情期特有の精神的な不安定さ、オス犬の引き寄せ、偽妊娠（想像妊娠）などのストレスから解放されます。
避妊手術（メス犬）のデメリット
- 全身麻酔のリスク: オス犬と同様に、麻酔に対するアレルギー反応や、持病による合併症のリスクがごく稀にあります。
- 手術に伴う痛みとストレス: オス犬よりやや複雑な手術のため、術後の痛みや回復に時間がかかることがあります。
- 肥満になりやすい: 性ホルモンが減少することで基礎代謝が低下し、太りやすくなる傾向があります。食事管理と運動管理が重要になります。
- 稀な合併症: 術後の傷口の炎症、感染、尿失禁のリスクがごく稀に報告されています。特に高齢犬や特定の犬種で見られることがあります。
まとめ
愛犬のために最適な選択を
犬の去勢・避妊手術は、愛犬の健康と行動に多大な影響を与える重要な医療行為です。病気の予防や問題行動の抑制といった多くのメリットがある一方で、全身麻酔のリスクや術後のケア、肥満への注意など、デメリットも理解しておく必要があります。
「手術をするべきか、しないべきか」という問いに、全ての子犬に当てはまる唯一の正解はありません。愛犬の年齢、犬種、性格、健康状態、そして飼い主さんのライフスタイルや考え方を総合的に考慮し、最も信頼できる獣医師とじっくり相談することが何よりも大切です。納得のいく選択をし、愛犬が健康で幸せな生涯を送れるようにサポートしていきましょう。
