【愛犬の耳のトラブル対策】清潔な耳で健康維持!正しい耳掃除の方法と注意点、感染症のサイン

「愛犬が耳を痒がっているみたい…」「耳垢が気になるけど、どうやって掃除すればいいの?」「うちの子は耳の病気になりやすいって聞いたけど本当?」と、愛犬の耳のケアについて悩む新米飼い主さんは少なくありません。犬の耳は、その形状や特性からトラブルを起こしやすく、特に垂れ耳の犬種は注意が必要です。
耳のトラブルを放置すると、炎症や感染症が悪化し、強い痛みやかゆみを引き起こすだけでなく、慢性化すると治療が難しくなることもあります。しかし、日頃から正しい方法で耳のケアを行い、愛犬の耳の健康状態をチェックする習慣を身につけることで、多くの耳の病気を予防し、早期発見・早期治療につなげることが可能です。
この記事では、愛犬を飼い始めたばかりの飼い主さん向けに、犬の耳の構造と耳の病気が起こりやすい理由、自宅でできる安全な耳掃除の方法、そして耳の病気を見分けるためのサインと予防のための日常ケアを詳しく解説します。今日からできる耳ケアを実践して、愛犬の耳の健康を守り、快適な毎日を過ごせるようサポートしていきましょう。
犬の耳はなぜトラブルを起こしやすい?構造と特性を知ろう
犬の耳は人間とは異なる特徴を持つため、トラブルを起こしやすい傾向があります。その構造と特性を理解することが、適切なケアの第一歩です。
1. L字型の耳道(耳の穴)
犬の耳道は、鼓膜に向かってまっすぐではなく、垂直と水平に折れ曲がった「L字型」をしています。この複雑な形状のため、通気性が悪くなりがちで、湿気がこもりやすくなります。湿気は細菌や真菌(マラセチアなど)が繁殖しやすい環境を作り出し、外耳炎などの原因となります。
2. 被毛による密閉性
特に垂れ耳の犬種(コッカースパニエル、ゴールデンレトリーバーなど)は、耳介(外から見える耳の部分)が耳道を覆っているため、さらに通気性が悪く、湿気がこもりやすい状態になります。また、耳道内に毛が生えている犬種(プードルなど)は、その毛が耳垢や汚れを絡め取り、通気性をさらに悪化させる原因になることがあります。
3. 自浄作用の限界
犬の耳にもある程度の自浄作用はありますが、人間のように耳垢が自然に排出されにくい構造をしています。特に体質的に耳垢の量が多い犬や、アレルギー体質の犬は、耳垢が溜まりやすく、それが炎症や感染症の原因となることがあります。
4. アレルギーや体質的な要因
アトピー性皮膚炎や食物アレルギーを持つ犬は、耳も痒くなりやすく、外耳炎を繰り返す傾向があります。また、脂漏体質の犬も耳垢が多くなりがちです。これらの体質的な要因も、耳のトラブルを引き起こす大きな原因となります。
自宅でできる安全な耳掃除の方法と頻度
犬の耳掃除は、やりすぎも良くありません。適切な頻度と方法で、優しくケアすることが大切です。
準備するもの
- 犬用イヤークリーナー: 犬の耳のpHに合わせた、刺激の少ない専用のクリーナーを使用しましょう。
- コットンやティッシュ: 耳の入り口やヒダを拭くために使用します。綿棒は耳道の奥を傷つけたり、耳垢を奥に押し込んだりする危険があるため、使用は避けましょう。
- ご褒美のおやつ: 歯磨きと同様に、耳掃除を良い経験と結びつけるために用意します。
耳掃除のステップ
ステップ1: 愛犬を落ち着かせる
- 愛犬がリラックスしている時に行いましょう。無理強いすると嫌な経験となり、今後のケアが難しくなります。
- 優しく声をかけ、撫でながら始めます。
ステップ2: 耳の入り口や見える範囲の汚れを拭き取る
- 犬用イヤークリーナーをコットンやティッシュにたっぷり染み込ませます。
- 耳の入り口付近や、耳介の内側のヒダの汚れを優しく拭き取ります。力を入れすぎず、見える範囲だけを拭きましょう。
- 汚れがひどい場合は、新しいコットンに交換しながら繰り返します。
ステップ3: イヤークリーナーを耳道に注入する(必要な場合のみ)
- 獣医師に指導された場合や、耳の汚れが耳道の奥にまで及んでいる場合に、イヤークリーナーを耳道に直接注入します。
- 愛犬の頭を傾け、耳介を垂直に立てて耳の穴を広げ、ノズルが直接耳道に触れないように注意しながら、獣医師の指示に従って適量のイヤークリーナーを注入します。
- 注入後は、耳の付け根(耳の根元)を優しく数回マッサージし、耳垢とクリーナーをなじませます。「クチャクチャ」という音が聞こえるのが目安です。
ステップ4: 首を振らせて汚れを出す
- マッサージ後、愛犬が自分で首を振って耳道の奥の汚れを外に出させます。
- 飛び散った液や汚れをコットンやティッシュで拭き取ります。
ステップ5: ご褒美を与える
- 耳掃除が終わったら、たくさん褒めてご褒美を与えましょう。「良いこと」として認識させることが継続につながります。
耳掃除の頻度
- 健康な耳の場合: 週に1回〜月に1回程度、耳の入り口を軽く拭く程度で十分です。
- 耳垢が多い、垂れ耳の犬種: 週に2〜3回、または耳の汚れ具合に合わせて調整します。
- 耳に問題がある場合: 獣医師の指示に従って行いましょう。頻繁な掃除が逆効果になることもあります。
注意点:
- 綿棒は使わない: 耳道の奥を傷つけたり、耳垢を奥に押し込んでしまったりする危険があります。
- 深追いしない: 見える範囲の汚れを優しく拭き取ることを基本とし、耳道の奥は触らないようにしましょう。
- 嫌がる場合は無理強いしない: 愛犬が嫌がる場合は、無理に続けないでください。少しずつ慣れさせるか、獣医師に相談しましょう。
- 耳に異常がある場合は病院へ: 異常な臭い、赤み、腫れ、痛みがある場合は、自宅で掃除をせず、すぐに動物病院を受診してください。
愛犬の耳のトラブルのサインを見逃さない!
耳のトラブルは、放っておくと悪化しやすいものです。日頃から愛犬の耳を観察し、以下のようなサインに気づいたら、動物病院を受診しましょう。
主なサイン
- 耳を頻繁に掻く、こする: 前足で耳を掻いたり、床や家具に耳をこすりつけたりする。
- 頭を振る、傾ける: 頻繁に頭をブンブン振る、頭を片側に傾けている。
- 耳からの異臭: ツンとした酸っぱい臭い、カビのような臭い、生臭い臭いなど、いつもと違う不快な臭いがする。
- 耳垢の異常: 量が異常に多い、色が黄色、茶色、黒っぽい、ドロドロしている、カサカサしているなど、いつもと違う耳垢。
- 耳の赤み、腫れ: 耳介の内側や耳の入り口が赤く腫れている。
- 痛みや触られるのを嫌がる: 耳を触ろうとすると嫌がる、唸る、噛み付こうとする。
- 耳だれ(耳からの分泌物): 耳から液体や膿が出ている。
- 脱毛や皮膚のただれ: 耳の周りの毛が抜けている、皮膚がただれている。
- 耳の傾き、聞こえの変化: 普段と耳の傾きが違う、呼びかけに反応しにくいなど、聞こえが悪くなっている可能性。
これらのサインは、外耳炎、中耳炎、耳血腫、耳ダニ感染症など、様々な耳の病気の可能性があります。早期に発見し、適切な治療を受けることが愛犬の苦痛を和らげ、病気の悪化を防ぐために非常に重要です。
まとめ
毎日のケアと観察で愛犬の耳の健康を守ろう
犬の耳はデリケートで、トラブルを起こしやすい部位です。しかし、日頃から愛犬の耳の構造やトラブルのサインを理解し、適切な方法でケアを続けることで、多くの耳の病気を予防し、快適な毎日をサポートすることができます。
焦らず、愛犬がリラックスした状態で優しく耳掃除を行い、もし異常なサインに気づいたら、自己判断せずにすぐに動物病院を受診しましょう。定期的なケアと注意深い観察が、愛犬の耳の健康、ひいては全身の健康を守る鍵となります。